北岳(3192.4m)間ノ岳(3189m)塩見岳(3047m)
H15年8月18〜21日
参加 3名

19日 戸台口〜広河原〜大樺沢〜八本歯〜北岳〜北岳山荘
夏アルプスは青空の下、雲の上の稜線を歩きたいものと思うのです。
台風、大雨と天候不順のこの夏はそれがなかなか、かないませんでしたが・・・。
南アルプス林道、広河原線が不通のため前夜戸台口に宿泊し始発のバスで広河原に入ります。
上空のガスが少し気になるところです。
水量たっぷりの野呂川にかかる吊り橋から出発します。


雨が多かったせいかどこも緑は潤ってシダ類はもちろん苔もピカピカです。その中を大樺沢の雪渓から流れて生ある白い動脈のように水は躍動し、自由自在に落ちてはじけて登山道にまであふれています。
まもなく白根お池への道を分けて、しっとりした樹林帯から岩のガレ場に出て、時々雪渓を渡り、水が豊富なので一息入れるには絶好です。
気になっていた空模様も青い空になり、振り返ると鳳凰三山の地蔵岳のオベリスクが誇らしげに天を指しています。


二俣から左手、八本歯の方に道をとり雪渓にとりつきます。雪渓の下は融けて空洞になっているのがよく見え出来るだけ左岸の道を上ります。両側は涼しげな紫のグンナイフウロとミヤマハナシノブの群落、黄色のアキノキリンソウ、オトギリソウ、キツリフネなどに彩られています。ひたすらののぼりですが足元のお花にはいつも心和みます。
バットレスからの落石に注意!と何ヶ所か標識がありますが上方のガスはまだ晴れず見えません。

雪渓が終わりジグザグの上りになりこれがまた一段ときつい!平坦個所がない!とどめのような上りです。
八本歯のコルにつきさらにその先は難所、長いはしご、急な階段、鎖が連続です。ザックの重さがだんだん辛くなり、一段体を上げるのさへ苦しく感じます。
体重とザックで何キロになるのだろうなどとどうでもいいことを考えてみたり・・・
途中で急に動物の悲鳴のような鳴き声と激しい物音が何度も聞こえて怖くて前に進めません。あわててザックの一番下からカウベルを取り出すのですが、それより早くLがすかさずラジオをつけてくれます。
熊?カモシカ?猿?しばらく待って物音がおさまり一つ階段を上がると数匹の猿がいましたが、何だったのでしょう?
かなり激しい物音と切羽つまった泣き声だったようですが。

ガラ場の上りを過ぎて北岳山荘への分岐にザックをデポして山頂をめざします。あたりはすっかりガスに覆われ風も強く寒くなり雨具を着ます。ペンキマークをたよりに岩をつたって吊り尾根分岐を過ぎ、お花の斜面になります。夏のお花は少し遅いようですが、色とりどりに咲き乱れています。岩かげのタカネビランジはとりわけ愛らしいお花です。

広い山頂はやはりガスっていて展望なく、何人かが晴れるのを待っています。
こちらに富士山、こちらに甲斐駒とイメージして待ちますが、なかなか晴れそうになくしぶしぶ山頂を後にします。
山荘で素泊まり、自炊します。(寝具付き素泊まり 5000円 宿泊者には水1Lサービス あと1L100円)
食後、宝石にも似た星の輝きを見ます。
残像を目に、胸に、お休みなさい ★☆★
コースタイム
大樺沢出合 8:05→二俣 10:25→八本歯分岐 12:10→八本歯のコル 12:55→北岳の分岐 13:20→北岳 14:05→北岳山荘 15:30 (歩行 7時間25分)
20日 山荘〜間ノ岳〜三峰岳〜熊ノ平〜塩見岳〜塩見小屋
窓が強い風に音をたてています。
外はやはり白いガスに唸る風、今日はロングコースのため4時半起床、5時40分に出発します。
中白峰を過ぎて間ノ岳への上りになる頃だんだんガスが流れ、風もおさまり見る見る展望があけてきます。


大きな間ノ岳、振り返ると昨日はついに会えなかった北岳、白い山頂の甲斐駒、仙丈、雲を従えあたりを制するひときわ美しい富士山!中央アルプス。
白い闇からウソのように青空になるのです。

真っ青な空に360度の展望が広がります。間近に見える農鳥岳、塩見への長い稜線、その後方には前回雨で敗退した荒川三山、赤石、南アの南部の山々がはるかにずっと重なっています。遠くにとがっているのは名前も姿も美しい聖でしょうか?
素晴らしい大展望にやや多めの休憩をとり、私は塩見への縦走路をしっかり心に刻みます。
夏山縦走の醍醐味とも言えるさわやかな風!青い空!展望の尾根!何故か心がさわぎます。


間ノ岳から三峰方面へ道をとり大きく下ります。
農鳥岳、西農鳥岳を左に岩のピーク三峰岳を過ぎ、やせた岩稜をどんどん下ります。
台地状の三国平から、むせるほどに咲く黄色一色のマルバタケブキのお花畑を過ぎて熊の平小屋につきます。
水場があり一休み、待望の青空はこれほどうれしいことはないのですが、暑い!暑い!
樹林に入ったり尾根に出たり、お花畑を通ったり、いくつもピークを過ぎ、これぞ縦走の醍醐味と言いながらもさすがに上りになると足が重く、息を整えます。
間ノ岳から大きく下った分、塩見岳が近くはなるのですがどんどん高くなってあとの上りが気になってきました。
大展望の小岩峰で一息入れ、北荒川から片側大崩壊の広い稜線に出ますが、ここからの塩見の展望は素晴らしく圧巻です。
殆ど人に会わず、3人占めのアルプスなのです。
塩見がお気に入りのLは熱いまなざし、Rさんはちょっとお疲れか食も進みません。
崩壊がひどくこの稜線は通行止めで少し下ってお花畑に入り、ハイマツ、ナナカマド、シャクナゲなどの多い上りからガレの最後の急登になります。常に山頂直下の上りはキツイものと思っていても、すでに8時間以上も歩いた重い足ははさらに重く、苦しい胸はさらに苦しく、1歩を出すほかないのですが。
蝙蝠岳への分岐を過ぎて最後の上りを頑張って塩見岳東峰と三角点のある西峰です。
長かったけれど、充実の1日、メインコースの大半を歩き感無量です。
本当におつかれさま!ありがとう!うれしさと感謝の気持ちでいっぱいです。
Lが塩見の山頂でと持ってきた、とっておきのグレープフルーツをいただきます。
あとは塩見小屋まで下りますが、天狗岩のピークにもう私の足は契約違反と訴えています。
ザレ場をどんどん下りますがなかなか小屋が見えてきません。ハイマツの中の小道に突然小屋を発見?した時はほっとして、とたんに心がゆるむのを感じました。
夕やみに包まれて塩見岳と天狗岩がかすんでいます。遠くなった仙丈に雲がかかり北岳もかくれてしまいます。
今夜もきっと星が流れることでしょう…
コースタイム
北岳山荘 5:40→中白峰 6:12→間ノ岳7:06⇔7:25→三峰岳 8:01→熊ノ平小屋 9:13⇔9:30→小岩峰 10:28→大崩壊の稜線 12:05→蝙蝠岳分岐 13:55→塩見岳東峰 14:40→西峰 14:52→塩見小屋 15:50
(歩行 10時間10分)
21日 塩見小屋〜三伏峠〜塩川
4時に目覚めて外に出ます。見上げる空から大きな星が一つ落ちてきました。夏の夜空に花火を見るような明るさで。
今日は塩川まで下るのみですがバスの時間もあるので、余裕を持って5時15分出発します。
すぐに樹林の中に入り、シラビソの林の下には白い清楚なセリバシオガマが群生しています。ここも緑が美しくしっとりして清清しい朝です。本谷山のピークからまたまたお花畑です。このコースで初めてマツムシソウに出あい、トリカブトやウメバチソウ、トモエシオガマ、ハクサンフウロなどたくさん見られます。

三伏山から塩見岳最後の展望となり、名残惜しい山々に別れを告げて日本一標高の高い峠、三伏峠(2365m)に下ります。
雑木の林、シラビソ、ブナの林、カラマツ林と過ぎ、途中の水場は風もよく通る気持ち良いブナ林で、冷たい水で顔を洗ってホッと一息です。塩川に沿っての明るい林は渓流はもちろん、紅葉も素晴らしいことでしょう、かの奥入瀬渓谷に負けず劣らずと思えるほどの美しい渓谷です。
清流とあふれるばかりの森林浴でさわやかに塩川小屋にゴールです。
足跡を地図で辿ると山と高原地図1/40000では広河原から塩川まで、地図の半分以上を占めています。
よく歩きました。きつかったり苦しかったことは不思議に忘れて実感としては残らず、4日間の3000mの縦走は手放しでうれしく、その全てを手の平サイズにして胸にしまっておきます。
次に憧れの縦走はまだまだ深い南アルプス南部の山、私の未知の世界です。
コースタイム
塩見小屋 5:15→本谷山 6:35→三伏山 7:28→三伏峠小屋 7:48→塩川バス停 10:45 (歩行 5時間30分)
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